サイトへ戻る

ヨシムさんに訊く、絵文字制作の裏側

2023年7月5日

2023年6月29日、キン肉マン絵文字第2弾「脇役なんて呼ばせない!」が遂に発売となりました。

絵文字の全40種ラインナップには、ソルジャーもロビンマスクもウォーズマンも悪魔将軍もおりません。伝説なのか、幻なのか、超人採用欄なのか、キンケシにいたのか。どこかで見たような気もするけど、名前は思い出せない――、そんな超人達をずらり並べた採算度外視企画となった今回!

売れなかったら事業撤退の危機すらありましたが、蓋を開けてみれば多くのキン肉マン・ファンの方にご購入いただき、皆さん、思い思いの使い方で楽しんで下さっているようで大変嬉しく思っております。

本日のマッスルジャーナルでは、キン肉マン絵文字のデザインでもお馴染み、クリエイター・ヨシムラヨシユキさん(通称ヨシムさん)のインタビューを公開致します。本企画に込めた想いやキン肉マン愛を存分に語っていただきました。

――キン肉マン絵文字第2弾、発売から数日経ちましたが、おかげさまで大変好評ですね。ありがとうございました。本日は、企画とデザインをご担当いただいたヨシムさんの声をお届けしたいと思っております。まずはヨシムさんのプロフィールを教えてください。

フリーランスのイラストレーター&絵本作家です。主に子供向けの書籍、雑誌、絵本などを描かせてもらっています。

ここ最近の代表作は、世界初のRGB印刷絵本「ブラックライトでさがせ!妖怪探偵」というシリーズものの絵本です。

――近年は、キン肉マン関連のお仕事にも携わっていますよね?

キン肉マン関係では学研の図鑑「超人」&「」で本編のイラストおよび特典のチケット風しおりをデザインさせていただきました。

あとは、なんといっても絵文字スタンプ第一弾&第二弾です!

40年来のキン肉マンファンなので、公式に描かせていただける日が来るなんて・・・。
小学生の頃の自分に教えてあげたいです(笑)

――40年来!? ヨシム少年はさぞ驚くでしょうね(笑)。キン肉マンとの出会いの瞬間や、どんなところに惹かれてファンになったのか、覚えていることがあれば教えてください。

小学生の頃に友達の家に遊びに行った際に「面白い漫画があるよ」というので読ませてもらったのが最初の出会いです。

たしか第2回超人オリンピックのあたり(8巻〜9巻)で、予選のギャグテイストやウォーズマンの残虐っぷりなどジェットコースターのようにテンポよく展開するストーリーと可愛くもありカッコよくもある作画に一発で虜になってしまいました。

当時から絵を描くのは好きだったので模写も相当しました。今でもキン肉マンの絵を描くと8巻〜13巻頃の少し丸っこいタッチになってしまいます。

――そんなことがあるんですね。

余談ですが、小学3年生の頃に描いたノートが一部残っていまして・・・。こちらになります。

これ(一番左の上)は酔っ払った時に無理やり書いてもらった嶋田先生のサイン、こちら(同・下)は中井先生に書いていただいたサインです。

――嶋田先生、酔ってますね(笑)。ベタな質問ですが、好きな超人や好きなシリーズ(名場面)はありますか?

1番好きなのは初代グレートです!ちなみにカラーは赤ではなく黒派です。すべての面でそれまでのキン肉マンの世界にいなかったタイプで、とにかくカッコいい!

好きなシリーズは・・・どれも面白いので決められません〜(笑)

あ、でもこの間、学研の図鑑・キン肉マン「技」の特典チケット風しおりでアメリカ遠征編のデザインをしたのですが、その時に改めてアメリカ編をガッツリ読んだら、なんか大人の世界な感じですごい面白かったんですよ。

――あぁ、なんかわかる気がします。

正直、子供の頃はアメリカ遠征編は三すくみの覇権争いや急激に変わった絵のタッチがあまり得意ではなかったんですが、大人になってから読むとプロレス界ならではの駆け引きやキャラデザの渋さ、アメコミ風タッチもすべてがカッコよく感じられました。

ボスキャラ格のスカル・ボーズがまたカッコいいんですよ!
絶対的な強さからくる自信をもった表情、佇まいにやられちゃいました。体中文字だらけのガリガリなハゲなのに、ね(笑)

――プライベートでは、ゆでたまご先生と交流があるそうですが、どのようなきっかけだったのでしょうか?

友人が企画したゆでたまご嶋田先生のトークショーがあったのですが、その友人が僕がキン肉マン大好きだという事を覚えていてくれて、関係者枠で一席とってもらえたんですよ。

その日の楽屋で初めてお会いしてご挨拶をさせてもらったのですが、目の前にあのゆでたまご嶋田先生がいるという事実がもう嬉しすぎて緊張しまくりでした。

ラッキーな事に打ち上げにも呼んでいただけたので、そこで嶋田先生と色々とお話をさせていただきました。その時に前述の子供時代に描いたキン肉マンノートをお見せしたら、思いの外喜んでいただけて、イラストを見ながら盛り上がったんですよ。

他にも格闘技や馴染みの酒場など、趣味の部分で共通した話題がたくさんあったおかげで、先生から「話足りないから、来週飲み行こうよ」と誘っていただいたのが、プライベートでお付き合いさせていただくようになったきっかけです。

――それはいいですね。

この喜びはもう言葉では表せません・・・!
今でもその時の事を思い出すとニヤけてしまいます。

これは初めてお会いした時の写真です。

――では、キン肉マン絵文字についてもお聞かせください。昨年、キン肉マン絵文字第1弾がリリースに至りました。超人のラインナップを全40種描いていただいたわけですが、ヨシムさんにとって、描きやすい超人、描きにくい超人なんていたりしましたか?

子供の頃から描いているので、特に描きにくい超人というのはいませんでしたが、なんせ世界中にファンがたくさんいる作品なので「こんなのキン肉マンじゃない!」とかSNSでボロクソに叩かれやしないかと、そっちの方が気がかりでした(笑)

――なるほど。では、第1弾で、40種の中でヨシムさん的に絶対含めたい超人、あるいは、登場人物はおりましたか?

デリカのおっさんこと、ドン・ピカーデリカオーネです!

絵文字第一弾という事で認知度の高い超人を入れないといけないんだろうな、というのは漠然と考えていたのですが、その中に一人か二人は癖のある人物を入れたかったんですよ。

僕はゆでたまご先生の作品に登場する独特な魅力のあるおっさんキャラが大好物でして、屠殺鬼玉王(闘将!拉麺男)やゼペットチャンガー(蹴撃手マモル)とかもうたまらんのですが、その中でもデリカのおっさんはすごく好きなキャラなので、ゴリ押しで入れさせていただきました。

ゆでたまご先生の初期ギャグ漫画「下町戦争」で活躍するデリカのおっさんがこれまた最高なので、肉ファンの皆さんにはこちらもぜひ読んでいただきたいです!

――第1弾は、とても反響が良く、大変多くの方にダウンロードしていただきましたが、ヨシムさんの耳にも届きましたか?

はい!おかげさまで配信直後から僕のLINE宛に友人知人からバンバン送られてきたのもありますし、SNSを通じての反響もたくさん拝読させていただきました。

おおむね好評の声が多かったので、本当に胸をなでおろしました。叩かれないでよかったです(笑)

ただ、もっとこういう超人がほしい、こういう表情があれば、というご意見もちょくちょく見かけたので、そこは真摯に受け止めて次回以降があれば反映させたいなと思っておりました。

――そして、今回のキン肉マン絵文字第2弾は、ヨシムさん立案のかなり尖った企画が現実となったわけですが、なぜこのような企画にしようと思われたのですか?

第一弾配信後に「〇〇がいない!」「××を出してくれ」など、ともするとマイナーと言われるような超人参戦を希望されるコメントを見かけていて、歴史の長い作品だけに、コアなファンの方には少々物足りない部分もあったのかなと感じました。

あえて極端に針を振ってコアファンも唸るような人選ってなんだろう?と考えてみたのですが、ふと「キンケシではよく出てくるけど実際の作品本編にはほとんど登場しない超人っているよなぁ」と思い、ミリオンヘル、マグニチュード1マン、クモノコチラス・・・などなど頭に浮かんだ超人を書き出したら、すぐに20〜30人くらいの超人が出てきたんですよ。

――底が知れないキン肉マンの世界!

当時ガチャガチャでキンケシを集めていた世代にはメジャー超人といってもいい彼らにスポットを当ててみたら面白いかな。でも尖りすぎて狭い層にしか刺さらないから企画会議でボツになるよな〜、なんて思いつつ提案させていただいたところ、意外にもすんなり企画が通ったのでむしろ僕の方が驚いたくらいでした(笑)

ゆでたまご先生の懐の深さに感謝です!

――そんなディープでマニアックな企画において、ヨシムさん的に「この超人は入れたかった」「スポットを当てたかった」「描きたかった」みたいな超人はいましたか?

キンケシのガチャガチャでやたら出てきたウールマン、フラッシャーバルーン、ポルターガイストは入れたかったですね。

開発会社の担当さんから「チャボケロリ」「ハングキラー」案が出てきた時は「おお、この企画を完全に理解してくれている!」と感じて嬉しかったです!

――今回、ヨシムさん的に「渾身の出来」みたいな超人はおりましたか? あるいは「描きにくかった」という超人は?

テリーマンやブロッケンJrなどのような目・鼻・口が人間と同じタイプの超人を描くのが昔から苦手だったんですよ。なので今回チャボケロリや盗人ジョージが難しかったです。

気に入っているのは「おしまい」のキン肉マンです。

この小さなスペースに笑い声とおしまいの文字とあの絶妙な表情をうまい事デザインできたかな〜なんて。

――今後アニメ化が始まって、新たなファンが増えて、この絵文字に辿り着くようなことがあれば、レオパルドンやカナディアンマンこそ引っ掛かる可能性はありますが、「えっ、(アニメには)誰も出てなくない?」と驚くでしょうね(笑)

ダハハ!たしかに!(笑)

テールランプとか見ても「誰だよこの電球」って言われるかもしれませんね。

――今日はありがとうございました。絵文字第2弾、まだまだ盛り上げて参りましょう!

スタンプや絵文字の情報も配信していきますので、ぜひマッスルジャーナル TwitterならびにLINEアカウントをフォローしてくださいね。