1月11日(水)は、ゆでたまご・中井義則先生、62歳のお誕生日ですね。
おめでとうございます。
中井先生の印象は、物腰柔らかく紳士的。嶋田先生も穏やかで優しい方なのですが、それでも、お二人のタイプは真逆のように違うと感じたりもします。
ゆでたまご両先生の役回りそのままに、嶋田先生は「動」、中井先生は「静」というのは、よくいわれていることですが、これに加え、周りとの繋がりを大切にする仁徳の嶋田先生は「友情」、周囲を包み込むように優しく見守る慈愛の中井先生は「愛情」、そんな印象がありました。
あくまで私個人の感覚です。
さて、執筆スケジュールでは、土日から作画の作業に入るため、イベントへのご参加が少ない中井先生は、お声を聞ける機会が非常に少なかったりするわけですが、そんな中井先生をよく知ることができる一冊はやはり「生涯現役、火事場の漫画仕事術」だと思います。
出版から10年が経っているため、変わっている部分もたくさんあると思いますが、根底は変わらないでしょう(ただ、嶋田先生の「火事場の仕事力」もそうですが、アップデート版が読みたいですね^^;)。
昨年、両先生の仕事本を読み返したことは、本Blogでもお伝えしましたが、何度読み返しても発見があるのですよ。今回の投稿では、この「中井先生本」から印象的な箇所をご紹介したいと思っております。
まずなにより伝わってくるのが、2011年11月、キン肉マン新シリーズ復活に懸ける想いの強さですね。漫画家としての「覚悟」のみならず、キン肉マンII世からキン肉マン新シリーズでどのように描写を変えたのか――、作画担当ならではの話が本当に面白いです。
スマホの画角を想定された分かりやすさを追求するのは当然として、嶋田先生が考えるセリフの特長を踏まえた見せ方の工夫が明かされている部分などは、読んでいて嬉しくなってしまいますよね。
そして、中井先生は、コンビによる成功の秘訣を「真・友情パワー」と書いています。
これは互いの領域を尊重・信頼するからこそ、それぞれがベストパフォーマンスを発揮し、分業制の利点を最大化できている要因であるとしています。その上で、お互いがお互いの強みや良さを最大限引き出し合っているわけですが、こういうところは今も変わっていないでしょうね。
この辺は、仕事におけるチームマネジメントなどに置き換えて考えることもできますので、何度も読んでも勉強になりますよね。
また、私が本書で一番好きなところに「表情を作るのは、顔だけではない」というチャプターがあります。
・ブラックホールになぜ表情を感じることができるのか?
・ロビンマスクはなぜ仮面の上から汗をかいてしまうのか?
これって不思議なことですよね。
さりげない違和感であっても、自然と受け入れていたりしますし、グッと物語に惹き込まれてしまったり。まさにキン肉マンの魅力の一つになっているのですが、必殺技の描写同様、この中井先生流作画マジックは、嶋田先生の要求に作画で応えようとする中井先生の想いであり、何十年もお二人で続けている果てしない問答でもあるんですよね。これを「私と相棒の哲学的なやりとり」と表現しているのが、なんとも奥深い。
ただ、やはり心配してしまうのは、中井先生の健康面であります。嶋田先生もそうですが、62歳という年齢や持病もあるということで、とにかくお身体にご自愛頂き、ご無理なく一日でも長く「キン肉マン」を描き続けて頂きたいなと願うわけです。
素敵な1年となるよう、心よりお祈りしております!